DOG MAN/ドッグマン

ストーリー

イタリアのさびれた海辺の町で、〈ドッグマン〉という犬のトリミングサロンを営むマルチェロ(マルチェロ・フォンテ)。店は質素だが、犬をこよなく愛す彼には楽園だ。妻とは別れて独り身だが、彼女との関係は良好で、最愛の娘ともいつでも会える。地元の仲間たちと共に食事やサッカーを楽しむ温厚なマルチェロは、ささやかだが幸せな日々を送っていた。

だが、一つだけ気掛かりがあった。シモーネ(エドアルド・ペッシェ)という暴力的な友人の存在だ。シモーネが空き巣に入る時に無理やり車の運転手をさせられ、わずかな報酬しかもらえなかったり、コカインを買わされ金を払ってくれなかったりと、小心者のマルチェロは彼から利用され支配される関係から抜け出せずにいた。自分の思い通りにいかないとすぐに暴れるシモーネの行動は、仲間内でも問題になり、金を払ってよその人間に殺してもらおうという話さえ出ていた。

ある日、シモーネから持ちかけられた儲け話を断りきれず片棒をかついでしまったマルチェロは、その代償として仲間たちの信用とサロンの顧客を失い、娘とも会えなくなってしまう。満ち足りた暮らしを失ったマルチェロは考えた末に、ある驚くべき計画を立てる――